two glasses of milk / 篠田葉子
飲まなくていいのに飲んだ牛乳が喉に絡まっている顔、でしょう
だって橋の崩れゆくなか駆け抜けてきて初めての陸があなただ
告解のようにシャワーを(あなたのは罪じゃないのに) 頭から
背もたれに背をあずけつつ張り詰めて深夜あなたは鰐に似ている
牛乳をグラスふたつに注いだらあなたの模倣になりたい身体
いつ死ぬかわからないからハピヴァースデイいつ誕生を祝ってもいい
そこに何を埋められたって心臓になるよ 雨に疼く古傷
喝采の勢いで火の爆ぜるおと処刑の終わるまでをふたりで
もうどこにも行かなくていい植え替えてこの大陸を知った鉢植え
コンビニで買える純愛だったろう牛乳が血の色だったなら