ともしびのうた

短歌/永遠と一瞬と欲望と星とバナナの話

【短歌連作】two glasses of milk

two glasses of milk / 篠田葉子

飲まなくていいのに飲んだ牛乳が喉に絡まっている顔、でしょう

 

だって橋の崩れゆくなか駆け抜けてきて初めての陸があなただ

 

告解のようにシャワーを(あなたのは罪じゃないのに) 頭から

 

背もたれに背をあずけつつ張り詰めて深夜あなたは鰐に似ている

 

牛乳をグラスふたつに注いだらあなたの模倣になりたい身体

 

いつ死ぬかわからないからハピヴァースデイいつ誕生を祝ってもいい

 

そこに何を埋められたって心臓になるよ 雨に疼く古傷

 

喝采の勢いで火の爆ぜるおと処刑の終わるまでをふたりで

 

もうどこにも行かなくていい植え替えてこの大陸を知った鉢植え

 

コンビニで買える純愛だったろう牛乳が血の色だったなら