ともしびのうた

短歌/永遠と一瞬と欲望と星とバナナの話

2024-01-01から1年間の記事一覧

受容と肯定、どこまでもゆける春 ~初谷むい『花は泡、そこにいたって会いたいよ』を読む~

こんにちは。歌人の篠田葉子です。 短歌を始めてからたくさんの歌を読んできましたが、評を書くことをずっと怠ってきました。好きな歌集から好きな歌を引いて、評を書いていきたいと思います。一首評から始めて、後々しっかりした歌集評を書けるようになりた…

【短歌連作】流星を待つ

流星を待つ / 篠田葉子 シーソーで流星を待つ おたがいにコーンポタージュの缶を煽って 褒められたニットを着回していれば永遠はあると思った 風花 スヌードを顎まで下げたから声の、わたしの湿度を見て 逃げないで 手と鉄の熱伝導率の違い ゆすれば軋むグロ…

【短歌連作】冬にはなむけ、君のおかげ

冬にはなむけ、君のおかげ / 篠田葉子 驚きに主張に知識にすべて目を見開く君ですよ。そうですね。 動画ではぴよぴよのSEがつけられた君の両手の羽ばたきをもっと 届くかな 君のおかげと言うときの六等星までよく見える冬 太陽に地球から届くものはなに 届か…

【短歌連作】水にさびしさ

水にさびしさ / 篠田葉子 一塊のグッピーたちの乱反射 あなたの顔が思い出せない 生殖で増えて分裂して増えて感情に似ているみずくらげ 進むたび青い暗さを取り込んでアクアリウムの幽霊になる 水槽にあぶくを吐く装置 人も海も滅んでゆくだけなのに 展示物…

【短歌連作】two glasses of milk

two glasses of milk / 篠田葉子 飲まなくていいのに飲んだ牛乳が喉に絡まっている顔、でしょう だって橋の崩れゆくなか駆け抜けてきて初めての陸があなただ 告解のようにシャワーを(あなたのは罪じゃないのに) 頭から 背もたれに背をあずけつつ張り詰めて…

好きな短歌100首言えるかな‐篠田葉子の場合

はじめに こんにちは、篠田葉子といいます。歌人です。 階田発春さんの記事「好きな短歌100首言えるかな(超短評つき)」を読み、面白かったのでやってみました。 階田さんの記事はこちら↓ note.com 学生時代に短歌を始め、社会人になってから少しのブランク…